それでも人は生きていく

 こんばんは。寺田です。

 だいぶ前の話ですが、「スーパーロボット大戦64」のPVについて
打ち合わせをしている時に……

 「64と六神をかけて、PVに『64合体!』というコピーを入れる
のはどうでしょう」

 ……などと言い出した人がいました。

 それが嶋崎直登さんです。

 「64合体」の元ネタは、かの「六神合体ゴッドマーズ」。確か、
プレテ用の映像か何かがあって、嶋崎さん自らがゴッドマーズOPの
ように「ロクヨーン! 合体!」と叫んでました。「只者やないな」と
思いました。

 残念ながら、その案はボツとなったのですが、「この人は俺と同じ
生き物かも知れない」と確信しました。

 そこら辺から、私と嶋崎さんの長いお付き合いが始まったわけです。



 毎回、突拍子もない企画を持ってきては、私とあーだこーだ言い争い
ながら、結局は打率7割ぐらいで実現してしまうあのパワー。

 でも、100%駄目だと思いつつ出した「スーパーロボット大戦MX」
のCM企画(実はイチオシだったそうで)を、私が一発OKしてしまうと
いう奇妙なシンクロ感もありました。

 そして、「隅田川公園で、スタッフだけでこっそりCM撮りますから。
だから、やりましょうよ。いや、責任取ってやるしかない。ね? ね?」
などと言っておきながら、実際には早朝の秋葉原で、しかも大勢のファン
の方々の前で私を走らせるという案を練っていた強かさ。

 見習うべき所は色々と多かったです。

 そう言えば、嶋崎さんの自宅で真夜中にPVの素材撮りをしていた時、
「宇宙戦艦ヤマト」と「トップをねらえ!」、「メガゾーン23」の
話で超盛り上がって、作業を遅らせてしまい、二人で涙目になったことも
あったなぁ……。
 
 入院の前後、そして入院されてからも嶋崎さんとはスパロボの今後に
ついて、あれこれ話していました。最後の最後まで、スパロボのことを
気に懸けておられました。私が「いいから、今は治療に専念してくれ」と
言っても、「考えることをやめたくない」と仰ってました。

 結局、嶋崎さんとはかなり先のことまで話しました。そして、アイデア
もいくつかいただきました。

 それがどういう形で実現されるかは、残された僕らスパロボスタッフの
力次第なのでしょう。

 頑張ります。

 ……とまあ、色々書いても、嶋崎さんは「なぁーに言ってんですか、
寺田さん。アハハハ。いいから、次のスパロボに○○○出しましょうよ。
あと、前から言っていた例の企画。いい加減覚悟決めて下さい」などと
言われるでしょうね。そういう人でした。いや、そういう人だと僕は
勝手に思っています。

 最後に……

 嶋崎さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

 いつかまた、秋葉原で会いましょう。

 2009年1月8日
 寺田貴信